2023年11月、イタリア屈指の名門歌劇場:ボローニャ歌劇場が来日、イタリアオペラの名作:ジャコモ・プッチーニの「トスカ」とヴィンチェンツォ・ベッリーニの「ノルマ」を上演します。
イタリア文化会館-大阪は、ボローニャ歌劇場の日本ツアー、特に関西での2公演を支援しています。関西での一つ目の公演は11月11日にびわ湖ホールで開催の「ノルマ」大津公演、二つ目が11月12日にフェスティバルホールで開催される「トスカ」大阪公演です。
この機会に、ボローニャ歌劇場のフルヴィオ・マッチャルディ総裁が、ボローニャ歌劇場の歴史と舞台裏を紹介します。
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ボローニャ歌劇場
1745年の火災により、当時ボローニャにあった純木造建築のマルヴェッツィ劇場が破壊され、ボローニャ歌劇場の歴史が始まった。火災後にボローニャ市は、劇場建築家および舞台美術家の一族として有名なビビエーナ家のアントニオ・ガッリ・ビビエーナに、当時のバロック様式で石造りの新歌劇場の建設を依頼した。そして、1763年5月14日、ボローニャ歌劇場はグルックの『クレリアの勝利』の初演で一般公開された。
その時代の資料によると、当時の市の総人口70,000人のうち1,500人がオープニングイベントに参加した。 以来、ボローニャ歌劇場は、その公演のクオリティーの高さと世界中からやって来るアーティストたちの名声により有名になった。ボローニャの音楽文化はよく知られている。モーツァルトをはじめ多数の作曲家が
ボローニャのアカデミア・フィラルモニカで学んだ。ロッシーニは長年、ボローニャに住み、自身の作品がボローニャ歌劇場で上演されるのを見た。ヴェルディは近郊のブッセートとサンターガタ・ボロネーゼで働いた。1867年、ヴェルディ作の「ドン・カルロ」は、パリでの初演の数か月後にボローニャ歌劇場でイタリア初上演された。ボローニャの街とボローニャ歌劇場は外国作品と外国人アーティストにも門戸を開いていた。ボローニャ歌劇場は、ワーグナーの「ローエングリン」「タンホイザー」「さまよえるオランダ人」「トリスタンとイゾルデ」「パルジファル」をドイツ以外で初めて上演した劇場で、そのお陰でボローニャは「ワーグナーの街」という名声を獲得した。
「ローエングリン」のイタリア初演時、ヴェルディはライバル(ワーグナー)の楽譜を手にボックス席にいた。ボローニャ歌劇場の舞台に登場した偉大な指揮者には、アンジェロ・マリアーニ、アルトゥーロ・トスカニーニ、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ、セルジュ・チェリビダッケ、ゲオルク・ショルティ、ウラジミール・デルマン、そして、より最近では、リッカルド・ムーティ、クラウディオ・アバド、リッカルド・シャイー、クリスティアン・ティーレマン、ジュゼッペ・シノーポリ、ダニエレ・ガッティ、ウラディーミル・ミハイロヴィチ・ユロフスキなどがいる。19世紀の歴史に残る偉大な歌手たちは皆、ボローニャ歌劇場に出演した。20世紀には、エベ・スティニャーニ、ティート・スキーパ、ベニャミーノ・ジーリ、ジュゼッペ・ディ・ステファーノ、ボリス・クリストフ、レナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコが、より新しいところでは、ルチアーノ・パヴァロッティ、ミレッラ・フレーニ、レナート・ブルゾン、マリリン・ホーン、クリスタ・ルートヴィヒ、マリアン・アンダーソンなどがボローニャ歌劇場に出演。今日も、ボローニャ歌劇場はその素晴らしい伝統を継承している。