「ピランデッロの謎をとく ― 短篇をよみ、シチリア発見の旅にでよう」
Pirandello, autore difficile?
Letti i suoi racconti, mettiamoci in viaggio per scopirire la Sicilia
武谷なおみ(たけや なおみ): シチリア文学研究者・エッセイスト
ピランデッロはむずかしすぎると思っていませんか? 学生時代のわたしもそのひとりでした。20世紀初頭に演劇界を揺るがした劇作家をめぐる批評家たちの哲学論争が、その印象をつよめました。でも文学事典ではなく、彼の後につづくシチリア人作家たちは別の見方をするのです。ピランデッロの登場人物は、アラブの迷路のように曲がりくねったアグリジェントの路地を、作者をさがして歩きまわる住民そのものだと。
シチリアに魅せられ、通いつづけて30年。今回の講演では、ピランデッロの故郷に行くたび目にする不思議な家並みを写真やDVDをまじえて紹介し、強烈な光と闇をやどす「シチリア人気質」がノーベル賞作家の創作の原点であることを、『短篇で読むシチリア』に訳出した作品(みすず書房、2011年)とともに語ります。
アメリカ移民として島をはなれる前日の認知症のおばあさん、不倫を犯した妻を殺してしまった本当の理由を裁判所で切々とうったえる貧しい農夫、3000年のシチリアの歴史をひとりで背負っているかのように身をかがめて歩く判事。北イタリアでは出会うことのできないピランデッロの登場人物たちが、あなたを待っています。
武谷なおみ
イタリア文学研究者、翻訳家、随筆家。
1948年 神戸生まれ。
甲南女子高等学校を経て、1970年津田塾大学英文学科卒業。
1980年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
イタリア政府留学生として、ローマ大学文哲学部に4年半在籍。
1985年 大阪芸術大学文芸学科講師。その後、助教授、教授を経て2013年退職。
この間、イタリア語・イタリア文学の講師として、大阪外国語大学、武庫川女子大学、山手女子短期大学、京都大学、東京大学でも教鞭をとる。
1992年 『古代ローマの饗宴』の翻訳でピーコ・デッラ・ミランドラ賞受賞。
2015年 編訳『短篇で読むシチリア』と2014年『ランペドゥーザ全小説』(脇功氏と共訳)で地中海学会賞受賞。
2016年 第40回「井植文化賞」(文化芸術部門)を受賞。
エッセイ集に『イタリア覗きめがね』『カルメンの白いスカーフ』その他がある。
イタリア学会、地中海学会、日本文藝家協会会員。
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