小説『プラハの墓地』(2010年)は、19世紀の反ユダヤ人主義の高まりから 偽書『シオン賢者の議定書』が生まれた過程を描いた歴史娯楽小説であり、 ヘイトスピーチや外国人排斥といった現代につながる倫理的、政治的問題を 含んでいる。 前半では、陰謀論や憎悪のテーマを中心に論じ、作家エーコが、19 世紀パリで流行した大衆小説の形式と豊富な歴史資料を使いながら、憎悪が拡大す る19世紀後半のヨーロッパ世界をどのように構築したのかに焦点を当てる。後半は ウンベルト・エーコの多方面での活動に触れ、イタリアの現代作家、小説作品との 関連性を考える。
日時:2016年7月23日(土)15時~16時30分
場所:イタリア文化会館-大阪 講師:橋本勝雄(京都外国語大学教授)
入場:無料・要予約(定員24名)
ご予約・お問い合わせ:イタリア文化会館-大阪(TEL. 06-6227-8556)
<講師略歴> 橋本 勝雄(はしもと かつお)
1967年生まれ。京都大学文学部卒業、同大大学院博士後期課程取得退学。現在、京都 外国語大学教授。専門はイタリア現代小説。主な訳書に、ディエゴ・マラーニ『通訳』 (東京創元社、2007年)、シモーナ・コラリーツィ『イタリア20世紀史』(名古屋大学 出版会、 2010 年)、ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』(東京創元社、2016年)が ある。1997年より『図書新聞』で「海外文学・文化回顧イタリア」を担当。