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ガブリエーレ・ダンヌンツィオ(1863-1938)生誕150周年記念展 ダンヌンツィオに夢中だった頃

一体ダンヌンツィオとはだれか?今の日本で答えられる人は少ないかもしれません。この20世紀初頭のイタリアの詩人・小説家・劇作家は、生前フランスやアメリカで広く読まれた国際的流行作家でした。今年はその生誕150周年。イタリアでは記念コインや切手も発行されています。
ダンヌンツィオ作品は、日本でも英語等の翻訳を介して、上田敏、夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介、生田長江、有島生馬など、日本近代文学史上、蒼々たる作家たちに読まれ、愛され、訳されました。漱石門下の文学者、森田草平の場合、ダンヌンツィオの小説『死の勝利』に夢中になり、その主人公を模倣するような平塚雷鳥との塩原温泉心中未遂事件を起こしました。三島由紀夫の作品や晩年の行動にダンヌンツィオの影響がみられるとも言われます。
ダンヌンツィオは、同時代のヨーロッパの最新の思潮や風俗を作品に取り入れ、人生においても独自の審美的スタイルとファッションを演出しました。そして、黎明期の自動車や飛行機を愛し、自分で運転・操縦。さらに、映画、広告など新しいメディアに関わった、まさに大衆化する新しい20世紀文化とともに歩み、リードした作家だったのです。
本展覧会は2部構成。第1部では「人生と文学」をパネルで紹介、生前の愛用の品々をあわせて展示します。ダンヌンツィオの人生と美学の集大成だった晩年の家ヴィットリアーレは、現在、博物館・研究センター・公園となっています。本展は「ヴィットレアーレ」財団との共催です。今回ヴィットレアーレからやってくるのは、ダンヌンツィオ愛用のスーツ、靴、ペン立てなど。びっくりするモダンな美しさです。卓越したファッション・センスにおいても、イタリアン・ダンディの先駆で、そのイメージを世界に発信しました。このイタリアン・スタイルの父、ダンヌンツィオの美学を、今回日本で初めて紹介することになります。
第2部は、「ダンヌンツィオと日本」をめぐるもの。青年時代の日本趣味、1920年ダンヌンツィオ計画の初の日欧間連続飛行であったローマ・東京連続飛行(飛行地図、新聞記事、飛行機の模型等)、日本の知識人たちのダンヌンツィオ作品の受容がテーマです。日本からヴィットレアーレを訪れた有島生馬や生田長江らの自筆書簡、カルピス創業者三島海雲をはじめ日本の文化人から届いたファン・レターなどが里帰りして、大正から昭和初期の文化風俗の忘れられていた側面を伝えます。

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