7月9日(火)~27日(土)、大阪-ミラノ姉妹都市提携企画『ミラノ・ジーニアス』の公式プログラムとして、ミラノ縁の4人のアーティストの作品がイタリア文化会館-大阪の「スパツィオ・アルテ」で展示されます。
アーティストのうち3名は、マリア・クリスティーナ・ガッリ、ロベルト・カシラーギ、清水哲郎というイタリア国立ブレラ美術学院(ミラノ市)の教授陣で、彼らの作品は7月9日から公開。
4人目のアーティストは、コゼンツァ生まれ、ローマで芸術家としての研鑽を積み、現在ミラノを拠点に活躍するアデーレ・チェラウドで、彼女の作品は22日から公開されます。
マリア・クリスティーナ・ガッリ(ミラノ在住、1966年7月4日ミラノ生まれ)
国立ブレラ美術学院副学長
国立ヴェネツィア美術学院にて絵画を専攻、スペインのグラナダ大学芸術学部にて修士・博士号取得。
1992年よりブレラにて「美術解剖学とエスキース」を教える傍ら、グラナダ大学芸術学部の「絵画科修士課程プログラム:創作・プロダクション・普及」において「身体と空間—デッサン方法論:理論と構想」コースを開講している。
スペイン(グラナダ)、フランス(パリ、マルセイユ)、ポルトガル(ポルト、リスボン)などヨーロッパの様々な大学の芸術学部で招聘教授として講義、セミナーを行ってきた。
ミラノのIstituto Europeo del Designビジュアルコミュニケーション学部にて、イラストレーション・アニメーションコースとデッサン・イラストテクニックコースの美術解剖学担当講師を務めた。
展示作品
1)タイトル:『CHROMA-Diario tassonomico in blu(彩度—青の分類誌)』、2015年
木、染料、紙、インク
72cm × 64cm
2) タイトル:『CHROMA-Diario tassonomico in bianco(彩度—白の分類誌)』、2019年
木、染料、紙、インク
71cm × 62cm
“もし
ゆっくり読めば
話はこんがらがってきて
急いで読めば
話は単純明快だ”
これらの作品は一連の“アーカイブ”の一部を成し、そもそもは、映画監督・作家・アーティストのデレク・ジャーマン(1942-1994)による同名テキストを巡る深い個人的思索として生れ出た。テキストはジャーマンがAIDSによる失明と闘いながら執筆したもので、その後彼はこの病の犠牲となっている。
www.mariacristinagalli.it
ロベルト・カシラギ
来歴(サンドロ・パルミッジャーニ監修)
ロベルト・カシラギ(1957年11月19日ミラノ生)。1975年芸術高校を卒業後すぐにジャンニ・コロンボの助手となり、1995年にはジャンニ・コロンボ・アーカイブ(l’Archivio Gianni Colombo)の専門委員会委員となる。同アーカイブとの協力により、一般財団法人草月会(東京)で個展、そしてシドニー・ビエンナーレ(2008年)の際には『Spazio elastico(弾性ある空間)』の再現を行った。1979年にブレラ美術学院を卒業し、ミラノ・トリエンナーレのパラッツォにおいて初の団体展に参加した。
1992年にはポルデノーネのグリゴレッティ・ギャラリーにて初の個展を開催し、その後数々の展示を行うことになる。2016年にはミラノのペルナネンテ・ミュージアムにてマリオ・ラチーティとともに『二世代を比較して』展の展示を手掛ける一方、2017年にはミラノのラウロ美術スタジオで個展を開き、その図録ではアルベルト・ペッレガッタによる紹介を受けた。
ロベルト・カシラギはまた、版画にも熱心に取り組み、イタリアの現代版画家の中でも最も才能ある者の一人である。
2007年からはブレラ美術学院にて「色彩学」と「絵画手法・工学」を教えている。
展示作品:
『Essere(存在)』、2012年 油彩、紙 100×70cm (両作品とも)
清水哲郎(1958年東京生まれ)
1987年にイタリアに移住、ブレラ美術学院にて絵画専攻を卒業。現在同学院にて「絵画デッサン」を教える。近年の代表的な個展は以下の通り:
2016年
・R&P法律事務所 展覧スペース(ミラノ)、『Incompletezza(不完全) 』、シモーナ・バルトレーナ監修
・ギャラリー イル・ミリオーネ(ミラノ)、『Anelito(生命の息吹) 』、クラウディオ・チェッリテッリ監修
2018年
・ギャラリー アントニオ・バッターリア、『Spazio obliquo(斜めの空間 )』、ジュゼッペ・ボニーニ監修
2019年
・ディ・パオロ・アルテ(ボローニャ)、『Equilibrio instabile(不安定な均衡 )』ブルーナ・ジョルダーノ監修
私の作品のタイトルは、「トラウマ」「ダメージ」「クライシス」「ジレンマ」といったもので、このような作品は、私たちの時代背景に起因する機能不全に陥った精神状態から生まれます。亀裂が入った不規則なフレームは、私が世界に対して抱く不自由なビジョンを映す鏡です。幾許かの傷のようにも見え、私たちが無意識のうちに抱えるストレスやトラウマのメタファーともなりえます。だからこそ、感情的かつ強烈に私たちの内なる存在に響いてくるのです。私の絵画へのアプローチは瞑想的で、多くの場合矛盾、つまり、私の内で起こる対立を孕んだものです。 清水哲郎
アデーレ・チェラウド
1972年コゼンツァで生まれる。美術高校卒業後、フィレンツェで建築を学びながらアートの研究を並行し、のちのちグラフィック、イラスト、演技なども含める彼女のアート作品を特徴づけることとなる、絵の勉強を極めた。
2007年《Nudi a penna》でデビューをするのはコゼンツァだが、アーティストや、美術史家、財団、イタリア及びインターナショナルなギャラリーを知り、コネクションを持ち始める街はローマである。2009年時計の画廊 (Galleria dell’Orologio) で《Just wearing Ink》を出展し、同年バルセロナでも作品が展示される。それと並行して現代美術コンクールへの参加や、著名なアーティストとのグループ展、ローマの聖サルバトーレ・イン・ラウロのグレコトマストロヤンニ美術館で行われた「Fabula in Arte」のようなチャリティーオークションへの参加も怠らない。
2010年Talent Prizeの決勝進出者として、ローマのクイリーノ劇場のホワイエとチェントラーレ・モンテマルティーニ美術館で彼女の作品が展示される。同年コゼンツァのBretti e degli Enotri市立博物館では個人の作品が飾られる。Green Generation協会の会長としてアデーレ・チェラウドはイレーネ・ピヴェッティがアイコンとして起用されたローマの展覧会「Battiti-con le donne, per le donne」のプロモーターを務めた。
第54回ヴェネツィアビエンナーレのカラブリアパビリオンに参加。ヴィットリオ・スガルビ監修ヴェネツィアで開催された展覧会「L’ombra del divino nell’arte contemporanea」にも出展する。
更にイスタンブール・インターナショナル・コンテンポラリーアートフェアの「イタリアのイメージ、世界のイタリア文化のアンバサダーアート (Immagine Italia, l’arte ambasciatore della cultura italiana nel mondo) 」に招待され、2011年以来コゼンツァのPalazzo de Brutiiの常設展示として聖フランチェスコ・ディ・パオラに捧げられた作品が所蔵される。
2012年ローマのオペラ・ウニカ・ギャラリーにてTakeaway Galley監修のプロジェクトの一環として、アデーレ・チェラウドはユダヤ人街の中の3x2x6の空間でBicのペン、大きな面積(3×2 m)のpvc素材のメッシュ、絵と言葉が印刷されたカーペットを使用した作品《Guardami》を制作。彼女にとってそれは初めてのインスタレーション作品となる。同じ年にフランチェスコ・ガッロ・マッツェオ監修、ラカルムーロ(アグリジェント)のカステッロ・キアラモンターノで《Eros…linguaggi plurimi del corpo》を展示。Kora Diffusione Culturale監修、ローマのマルグッタ通りで開かれた展示会「InassoLei」は、ジャンカルロ・ペラッツィーニのジェンダーバイオレンス反対を唱える著作「Omicidio dell’anima」の発表と共に行われた。また、アレッツォの第2回コンテンポラリーアートフェアに参加。
2013年フィウッジでヴィットリオ・スガルビとグループ展「L’acqua, la luce, la pietra」を開催。ローマのロ・スパツィオ劇場では女性殺害(femminicidio)に反対するNotte Rossa運動第1回の機会に、ベッタ・チャンキーニと並び劇場パフォーマンス《Blitz Artistico》を披露する。
連帯感を深める様々なイベントへの参加や、社会や文化的な利益に貢献するチャリティーオークションへの作品の寄付は、アーティストの人生の哲学において、なくてはならない道のりとして考えられている。
ミラノのfuorisalone 2014では作家の壁紙、Wallpaperプロジェクトへ参加するよう招待され、それをきっかけにアートとデザインを融合させる新しい道をたどり始めた。ミラノで新しい個展のオープニングセレモニーの最中、芸術的かつ社会的な強いメッセージから突き動かされた行動として、自身の作品《La Crocifissione》を破るパフォーマンスを行う。
2014年メルボルンでmadrina di G.A.I.A.というオーストラリアとイタリア間の芸術文化交流を目的としたプロジェクトに携わる。2015年過去の偉大な芸術家やイタリアの美術史に残る聖画像からインスピレーションを得て、女性をテーマに再解釈した《Le Affinità Elettive》を展示する。同年Arte Fiera Bolognaにも参加し、Bicペンを使ってライブで絵を描くというパフォーマンスをCulturaliaスペースで行った。
2016年アデーレ・チェラウドはスピーチの最中背景にビデオや絵の投影をする「TEDx Cesena」で彼女の人生とアートの道のりについて語った。
2017年ミラノで行われた、女性に対する暴力の反対でファッションとアートの業界を融合させたインスタレーションWall of Dolls(ミラノ)のような、女性殺害というデリケートな問題をテーマにしたデモやグループ展に参加する。また、ミラノのCsa Testoriでのグループ展「Arte contro la corruzione」、BIAS Biennale di Arte Sacra di Palermo、ミラノのSpazio 22で開催された「Works on Paper」に出展。Alighiero Boetti、Giovanni Gastel、Gustav Klimt、Mimmo Paladino、CY Twomblyなど有名なアーティストに並んで、ミラノのSpazio 81で行われたチャリティーオークション「Donne della Vite」と「Amani for Africa」に参加。
アデーレ・チェラウドはMatteo Basilé、Giorgio Possenti、Alessandro Rossellini、Dario Scaramuzzinoなどの多くの写真家と活動している。
パフォーマンス、写真、舞台、ビデオ、アニメーション、映画、音楽とアデーレ・チェラウドの作品やビジョンはますます相互的に影響を与えあっている。
アーティストは現在ミラノに住んで活動している。
www.ceraudoadele.com