2022年に生誕100年をむかえた詩人で映画監督のパゾリーニと、2021年に没700年をむかえたダンテ、600年以上の時を隔てて活躍した二人に、文学上で共通するのは「リアリズム」です。二人の文学は、実際には、文献学者コンティーニによって結び付けられます。コンティーニがダンテのリアリズムの特徴として挙げた多言語主義と、様式の混淆は、そのまま1950年代のパゾリーニに受け継がれます。
講師のパッティ氏により、『神曲』(“聖なる喜劇”)を模したパゾリーニ作品『聖なるミメーシス』が、ダンテのリアリズムを鍵に読み解かれます。
土肥による補足解説を加えた逐語訳で、パッティ氏のレクチャーをお聞きいただきます。
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エマヌエーラ・パッティ Emanuela Patti
エディンバラ大学ヨーロッパ言語文化学科 専任講師。バーミンガム大学にて博士号(イタリア学)取得。専門はイタリア文学とメディア・スタディーズ。トリノ出身。
主著にOpera Aperta. Italian Electronic Literature From The 1960’s To The Present (Peter Lang, 2022), Pasolini After Dante. The “Divine Mimesis” And The Politics Of Representation (Routledge, 2016). 編著にLa nuova gioventù? L’eredità intellettuale di Pier Paolo Pasolini (Joker, 2009). 共編著にTransmedia. Storia, memoria e narrazioni attraverso i media (Mimesis, 2014).
土肥秀行 Hideyuki DOI
東京大学大学院人文社会系研究科准教授。ボローニャ大学イタリア文学科で博士号取得。20世紀初頭のイタリアと日本の前衛研究に従事。東京出身。
単著にInterlinee: studi comparati e oltre (Cesati, 2021)(『インターライン―比較文化その他』)L’esperienza friulana di Pasolini. Cinque studi (Cesati, 2011)(『パゾリーニのフリウリ体験』)、共編著に『イタリアの文化と日本—日本におけるイタリア学の歴史』(松籟社、2023)、『教養のイタリア近現代史』(ミネルヴァ書房、2017 年)がある。