あるアーティストの視点から見た気候変動・地球温暖化問題
「大洋に内海、そしてヴェネツィアのような夢のように素晴らしい街は、多くのロマンチックな人々を魅了するが、気候変動の危機は私たちが未来に夢見る可能性を阻害しつつある。この魅惑的な歴史都市は数限りなく撮影されてきた。それほど遠くない将来、写された場所は水底に沈み、それらの写真は想い出として残ることになるだろう。課題のひとつは—おそらく写真に課せられた使命と言えるだろうが—それは、宇宙の動きのほんの一部にすぎない時間と空間を凍結することだ。後世の人々は、ヴェネツィアを今あるように見るのだろうか?それとも、多くの目と様々な感性によって写された写真のイメージを通して、頭の中でのみ見るのだろうか?」
イアン・アート
写真は、物質的な世界をとどめる目のストップウォッチでも、単なる複製でもなく、再現と表現の間に僅かながらにある違いをその中に含有する言語であり、無限の想像世界を惹起する—偉大な師ギッリはこう記している。イアン・アートも『水の下のヴェネツィア』で同じ動きを取っているように思われる。ヴェネツィアを撮影しつつオリジナリティーを出すことは難しく、すぐにありきたりなデジャヴに陥ってしまう。しかし、イアンは、風景の一部分、館、運河、教会、鐘楼をばらばらにし、重ね、簡素化し、強調し、現実のヴェネツィアでありながら夢の世界のヴェネツィアに仕上げている。おそらく水底に沈む運命にある世界で唯一の街の記憶の、起こりうる未来を想像する彼の意識の探索である。」
パオラ・デ・リーヴァ
日時:2016年10月1日~21日 月~金 11:00-20:00、土 10:00-16:30、日 10:00-12:00