19世紀イタリアの幻想短篇をきっかけとして、イタリア文学に対する日本の読者の関心を広げることを目的とした講演である。アンソロジー『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫、2021年)の9作品から4つを選んで、それぞれに関連するキーワードを利用して合計8冊のイタリアの本を取り上げた。アンソロジーからはアッリーゴ・ボイトの「黒のビショップ」、ヴィットリオ・ピーカの「ファ・ゴア・ニの幽霊」、ヴィットリオ・インブリアーニの「三匹のカタツムリ」、イッポリト・ニエーヴォの「未来世紀に関する哲学的物語」を選んだ。「チェス」、「日本」、「寓話」、「歴史SF」というタグを通じて、パオロ・マウレンシグの『復讐のディフェンス』、マッシモ・ボンテンペッリの『鏡の前のチェス盤』、イタロ・カルヴィーノの『砂のコレクション』とゴッフレード・パリーゼ『風流は寒気なり』、ジャンバッティスタ・バジーレの『ペンタメローネ』、クリストフォロ・アルメーノの『セレンティッポの三人の王子』、ステファノ・ベンニの『聖女チェレステ団の悪童』、ヴァレリオ・エヴァンジェリスティの『異端審問官ニコラス・エイメリック』を紹介した。パリーゼとエヴァンジェリスティ以外はすべて日本語の翻訳がある。
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橋本勝雄 Katsuo HASHIMOTO
1967年栃木生まれ。京都外国語大学教授。専門はイタリア現代文学。2021年に『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫)で本邦初訳の九作品を翻訳。2016年、ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』(東京創元社、2016年)で第2回須賀敦子翻訳賞を受賞。そのほか翻訳としてファビオ・スタッシ『読書セラピスト』(東京創元社、2022年)、セルジョ・トーファノ『ぼくのがっかりした話』(英明企画編集、2021)、アンソロジー『現代イタリア短篇選集』(国書刊行会、2019年)、マッシモ・ボンテンペッリ『鏡の前のチェス盤』(光文社古典新訳文庫、2017年)、シモーナ・コラリーツィ『イタリア20世紀史―熱狂と恐怖と希望の100年』(名古屋大学出版会、2010年)、ディエゴ・マラーニ『通訳』(東京創元社、2007年)、ジュゼッペ・パトータ『イタリア語の起源―歴史文法入門』(京都大学学術出版会、2007年)、共訳として、アンソロジー『現代イタリア短篇選集』(国書刊行会、2019年)、ジョルジョ・アガンベン『イタリア的カテゴリー―詩学序説』(みすず書房、2010年)、ウンベルト・エーコ『カントとカモノハシ上・下』(岩波書店、2003年)、イタロ・カルヴィーノ『水に流して―カルヴィーノ文学・社会評論集』(朝日新聞社、2000年)などがある。